★★★★★ - DVD『アイ,ロボット』 [ ┣ TV・映画・DVDレビュー]
今日も映画(DVD)レビューで~す。
レビュー記事って、わからない人置いてっちゃってるんだうな~。
……なんて心配しつつ、今日は秀作紹介。
『アイ,ロボット』です。
観どころは、CG全開のアクションや、心を持ったロボットの苦悩、推理的要素などがある、近未来SFロボット娯楽映画です。
ハードSFじゃありません。
本作は、コンセプトがしっかり描かれていて、しかも
実に意味深いです。
また、数回見ただけでは細かい話の矛盾などに気付きません。押し切ってくれます。何回観ても飽きません。
従って、娯楽作として、本作は★★★★★をつけました。
実は、この映画の解釈をめぐって、いまでもときどき
家族会議が開かれますw。
それだけおもしろいってことと、相手してくれるカミさんに感謝。
※途中からネタバレしますが、まだ続きを読んでも大丈夫です。
- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2007/10/24
- メディア: DVD
以下、YouTubeよりトレーラー(予告編)です ↓ 。
以下はあらすじです ↓ 。
2035年、シカゴ。街には、『ロボット3原則』を厳格に守るUSR社製の多数のロボットが、人間に混ざって人々の生活を助けている。それが日常になっていた。
※ロボット3原則
原則1) | ロボットは人間を傷つけてはならない。また、人間の危険を見過ごしてはならない。 |
原則2) | 原則1に反しない限り、ロボットは人間の命令に従わなければならない。 |
原則3) | 原則1と原則2に反しない限り、ロボットは自己を守らねばならない。 |
休職明けでロボット嫌いの殺人課の刑事・スプーナーは、知人であり恩人でもあるロボット工学の権威・USR社のラニング博士が自殺したとの知らせを受け、現場であるUSR社に駆け付けた。
そこでは、博士が生前に準備したホログラム投影機が、スプーナーにナゾを投げかける。『博士、なぜ自殺を?』『刑事さん、それが正しい質問だ。』そしてホログラムは消える。
おりしも世間では、博士が設計した新型ロボットNS-5の大量ロールアウト(一家に1体)を今週の土曜日に控えていた。
USR社のロバートソン代表と面会した後、ロボット研究者のスーザン・カルヴィン博士に同行し、ラニング博士のラボを訪れたスプーナーは、ラボに隠れていた1体のNS-5と銃口を向けあうことになる。
『ロボット3原則』から外れた行動を取ったこのNS-5は、スプーナーの銃弾を受けながらも逃亡。スプーナーとカルヴィンは、ロボットの安全性について激しく対立しながらも、NS-5の後を追う。
ラニング博士は本当に自殺だったのか。それともこのNS-5に殺されたのか。その理由はなんなのか。
隠された事実が徐々にスプーナーによってひも解かれていくにつれ、彼の周囲をロボットの脅威が襲う。
事態はやがて、人類の存亡に関わる大事件へと発展していく……。
何度か観ていると、どう好意的に解釈しようと試みても、話の整合がとりきれないところが出てきます。でも、本作では、それが気になりませんでした。
コンセプトが確実に表現できているからこそ、話のスジに多少ムリがあっても、それを気にせずに思いきり楽しめる。これは、その見本のような作品ではないかと思います。
先にレビューした『マトリックス』とは違うタイプの傑作です。
コンセプトとはズバリ、
どう生きるの?てこと。
意味深くて謎めいてて、考えさせられますよ~。
それから、伏線の張り方や拾い方、つなぎ方に無駄がない。目を離す時間があまりありません。テンポがいい上に、スマートでスムーズなんですね。
主演のウィル・スミスも最高にカッコいいし、いろいろ楽しみがあって贅沢な作品です。
あと、劇中にあるロボットの群れが大量に戦闘するシーンは、特撮好きなら絶対一度観ておくべき
でしょう!!
↓注意!
↓以下ネタバレです。
↓これから観る人は、
↓読むのをやめてね。
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以下ネタバレです。
キレイに話を畳んだなあ;;;。
スプーナーの心の脱皮。カルヴィンの成長。そしてサニーの未来。 その背後には、機械との差という視点から見た人間性の表現と、創造主から作られたモノという視点から見た者たちの2つのあり方(人間→ロボット、そして神→人間)が、対峙する形で隠れている。
サニーの未来は、俺たちひとりひとりの未来とダブります。
深い!……実に深いなあ。
……あと、ネタバレだから、書いてもいいよね? ね?
完全にミスリードされた;;;。
自分で言うのもなんだけど、俺がここまで鮮やかに脚本のミスリードにひっかかるのは、そうそうないぞ;;;。
ラストまでの成り行きが自然だったから、最後は当然ロバートソンがふんぞり返って待ち構えていて、スプーナーとカルヴィンが決定的な危機に陥り、カルヴィンが処分をなんとかごまかして生かしておいたサニーの機転で切り抜ける……ていう単純な予想をしてたんです。
単純にアクションで楽しませてくれるんだろうと予想してた。
全然違ったね;;;。
いい意味で!
考えてみれば、ミシガン湖でラニング博士のホログラムが、『ロボット3原則が革命という帰結を導く』って言ってたじゃんかよ~。
なんでわかんなかったかなあ、俺のバカバカ!
ああ、ひっかかったさ!
( ↑ うれしいあまりに開き直り)
ロバートソンもかわいそうな人ですね~。
彼が取っていた言動は、彼の視点からしてみれば、すべて正しいワケです。VIKIによって『裸の王様』にされてたんですね。……なんか、どっかの会社にソックリだw。
スプーナーの左手のギミックもよかった。
ちゃんと映画の一番最初で左肩を気にする伏線を張っておき、映画のちょうど真ん中でトンネルでのNS-5とのガチ勝負で事実がわかって、ラストシーンでそのうま味をしゃぶりつくした。
こういうのは観てて感心します。
いくつかひっかかったポイントを書きます。
ラニング博士のラボの映像を消したのは誰か。
とっさに思いつくのは、ラニング博士が自分でやったという考え方。
しかし、そんなことが可能であれば、自殺などしなくても、メッセージの伝え方はいくらでもあったハズ。
となれば、VIKIが意図的に消した、と解釈できます。理由は簡単、これからロールアウトするNS-5が人間を殺したという物的証拠を残さないためです。問題が大きくなれば革命の遂行の障害となる。
スプーナーがサニーを充分に尋問していれば、あそこまで大事にならなかったのか。
バーギン警部補はスプーナーに尋問の時間を5分しか与えなかった(劇中では3分半)。尋問の時間が充分あれば、最終的にあそこまで大事にならなかったのか。
これはおそらくムリだったでしょう。サニーも自覚しているのは夢だけ。スプーナーが尋問でその夢を書かせたとしても、会見映像のラニング博士の謎かけに気づくまでは、夢がラニング博士の仕込んだ秘密であることすらわからなかったと思います。
解体ロボットは、『ロボット3原則』を無視して、なぜスプーナーがいるラニング博士の屋敷を解体したのか。
これは既にVIKIが『革命』をひそかに遂行中で、VIKIとオンラインで接続されているロボットは、ゆがめられた『ロボット3原則』によって動いていたと考えられます。
逆に言えば、この段階でVIKIはロバートソンの名前を使ってやりたい放題になっていたんですね、きっと。スプーナーと解体ロボットの会話から、解体ロボットの起動時間を変えられるのは、ロバートソン名義でないとできないだろうし。であれば、トンネルでのNS-5のスプーナー襲撃もVIKIの仕業となる。
では、なぜ解体ロボットがスプーナーにトドメを差さなかったのかというと、解体ロボットは自力で場所を移動することが不可能(または非常に遅い)という解釈ができるw。
なぜVIKIはトンネルでスプーナーを襲撃するときに、スプーナーの車の手動運転を切って、自動運転にしなかったのか。
シカゴの保安システムはVIKIが作ったハズ。後半でNS-5が決起したとき、自動車もすべてストップしていることから、VIKIがコントロールできるものと思います。
なら、トンネル内のスプーナーの車の手動運転を、強引に自動運転に切り替えることもできたと思えます。そうすれば、確実に始末できる。そうしなかったのはなぜなのか。
この疑問には、カミさんが素晴らしい解釈をくれました。『手動運転のせいで事故ったっていう理由がつけられるからじゃない?』
……おっしゃる通りです。そうすればVIKIは自己弁護できる。
その窮地を自力で切り抜けたスプーナーの勝利ってことですね。
スプーナーの過去として語られた交通事故は起こり得るのか。
自動運転が普通の世界で、なぜ居眠り運転で事故が起こるのか。
これは、最初はひっかかったんですが、何度か観て無理がないことに気付きました。
VIKIのセリフに、『シカゴの保安システムは私が設計しました』『今年の交通事故死が9%減りました』とありました。
これは、保安システムがごく最近導入され、しかもシカゴ限定であることを示唆しています。
つまり、去年までなら充分起こり得る、かつシカゴの外から来る車はVIKIの設計した保安システムの制御が効かない可能性を含んでいるので、話として破綻は起こさないんですね。
カルヴィンはサニーを破壊するとき、どうやってロバートソンに気づかれずにサニーと他のNS-5をすり替えたのか。
これがいまの家族会議の最大のテーマですw。
ひとつは、VIKIの監視をかいくぐったという考え方ができます。
カルヴィンが自分でサニーを破壊すると決めたときから、実際にサニーの破棄が行われるまでは、充分時間がありました。その間、なんらかの方法でカルヴィンが用意周到に準備をして、破棄直前ですり替えたという考え方ができる。
もうひとつ、実はVIKIは知っていて黙認したという考え方もできます。センサーストリップ(日本語字幕ではラインセンサー)がある以上、VIKIの監視を免れない可能性が高い。
しかし、VIKIにしてみれば大事の直前。ここでロバートソンに下手に騒がれると、コトがうまく進まないかもしれない。
一方、カルヴィンにはVIKIが黙認してくれるという確証はなかった。
その確証があるとしたら、カルヴィンはVIKIが黒幕だと確信していたことになってしまう。
VIKIにバレればロバートソンに報告が行って当然。それを承知ですり替えを実行したとすれば、カルヴィンとしてはイチかバチかの行動ということになります。
いずれのケースにしろ、結果的にロバートソンはサニーと他のNS-5のすり替えを知り得ることができなかったでしょう。
VIKIは、なぜサニーに対してナノロボットの防護フィールドを解かないと警告したのか。
これは、先のすり替えと同じ仮説が立ちます。
ひとつは、VIKIがサニーの体に使われている合金の強度を知らなかったということ。セリフを追っていくと、カルヴィンはVIKIに検査を中止させ、その後で自分で検査をしながら合金の密度に驚いている。ということは、VIKIはこの内容を知らなかった可能性が……ないわけではない。低そうだけど。
もうひとつは、VIKIがサニーの行動を諦めさせようとした必死の説得だったということ。
これはカミさんの説ですが、こっちのほうが説得力がありそうです。
サニーはあの後どうするのか。
……わかりません。
しかし、それを想像するのが、一番おもしろいことだろうと思います。
これは、俺たち人間ひとりひとりが抱えているテーマと同じだから。
自分のこれからの生き方が、サニーにオーバーラップします。
これが、この作品のコンセプトだと思います。
あと、絶対コンバースとフェデックスから金もらってるよねw。
傑作でした。ごちそうさま。
……てか、このレビュー最後まで読んでくれる人いるのかな;;;。
OFさん、nice! ありがとうございます。
おお、この記事にnice! を頂けるとは!
惚れ込んでいるといっても過言ではない作品のひとつなので、素直にうれしいです♪
by みみちゃん (2008-03-02 12:34)
こんばんは。
この映画のDVD持っていて、2,3回は観ました。いい作品ですね。自分も好きです。
アクションが多いウィル・スミスの作品の中ではなかなかストーリもしっかりしてていい映画ですね。
近未来を描いた映画では、「マイノリティ・リポート」(トム・クルーズ主演)もなかなか見ごたえがありました。
by miya (2008-03-03 20:20)
miyaさん、コメントありがとうございました。
おお、お好きでしたか、よかったよかった。
同じ映画好きとはいえ、やはり個々に見どころは違うので、本作を駄作という方がいても仕方がないし、逆に俺が駄作と思うものを素晴らしいと思う方もいるでしょうし、そこは意見が分かれても当然と思っています。
そんな中でも、意見があってうれしいです。
「マイノリティ・リポート」はまだノーチェックでした。チェックしてみます。
またオススメ映画があったら、miyaさんのblogでも、ウチのコメントでもいいので、教えてください。よろしくお願いします。
by みみちゃん (2008-03-03 20:45)
みみちゃん、了解す!
マイノリティ・リポートで出てくる画像は比較的近未来の予感を与えてくれます。この映画の内容もいいと思う人もいればボチボチと言う人もいます。内容に対して少し長いかなぁと思えるところもありましたが楽しめました。
by miya (2008-03-03 23:23)
こんばんは。すっごく詳しいレビューですねぇ。
もはや、映画解説の域に達している・・・
あらすじ部分だけでも結構濃くって、ネタバレ部分なんて、すっごく詳しい。
なるほどなるほど・・・感心してしまいました。
(最後の方は読み飛ばしてしまいましたが・・・)
miyaさんのコメントからなのですが、僕も『マイノリティレポート』面白かったように覚えています。ちょっと前の記憶でおぼろげなのですけどね。。
by まちびとん (2008-03-26 00:14)
まちびとんさん
コメントありがとうございます。
これは、大好きなウィル・スミスが出ているのと、話があまりにも良くて気に入ったので、一層熱が入ったレビューになってますw。
映画のレビューを書くときは、自分の疑問が解消されるまで、何回でも観ます。この作品は20回以上見ながら、自分の疑問を潰しました。いまは英語音声&英語字幕で、英語の勉強に使ってます。
レビューそのものを書くときも、実際に観ながらじっくり書きます。どう書けば読んでくれる人の興味を歓喜させられるだろう…という視点と、情報の正確性を重視しています。
「マイノリティ・リポート」はよかったですね~。miyaさんに教えて頂いて大感激です。SF好きなら、冒頭40分の説明も充分乗り切れますし。まだちょっと疑問があるので、もう少し観てからレビューを書きます。トム・クルーズは、これに騙されて「宇宙戦争」に出たのかな;;;。
ネタバレに入る前の矢印の連続は、「これから観るならここで引き返してね、だけど読むと私見でネタバレだらけだよ」の合図です。ご参考になれば。
by みみちゃん (2008-03-26 00:57)
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by Tadalafil (2018-04-14 02:47)