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☆☆☆☆☆ ‐ DVD『機動戦士ガンダム劇場版 特別版』 [ ┣ TV・映画・DVDレビュー]

いま、機動戦士Zガンダムの劇場版が作られているようですね……もうすぐⅢが劇場公開とか。私は、ガンダムファンの中でも 『気難しい』 と言われる、バリバリのファーストガンダム派です。ファーストガンダム派の私にとっては、Z劇場公開の何百倍も気になることがあるんです。

それは、……いまDVDで売られている、『機動戦士ガンダム特別版』 の、あまりのデキの悪さ

今日はたまたまケーブル(ANIMAX)で特別版を目にして、そのデキの悪さを再確認して、また悲しくなりました。ガンダム劇場版のオリジナルを見ていない方には、『頼むからコレを見てガンダムだとは思わないで!』 と言いたくなるデキの悪さです。私もDVDは買っちゃいましたけど、ハッキリ言って後悔してます。

機動戦士ガンダム I 特別版 【劇場版】

機動戦士ガンダム I 特別版 【劇場版】

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2000/12/21
  • メディア: DVD


機動戦士ガンダム II 哀・戦士編 / 特別版 【劇場版】

機動戦士ガンダム II 哀・戦士編 / 特別版 【劇場版】

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2000/12/21
  • メディア: DVD


機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編 / 特別版 【劇場版】

機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編 / 特別版 【劇場版】

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • 発売日: 2000/12/21
  • メディア: DVD


なにがそんなに悪いのか? 観ていて悲しくなる点が、4つあるんです。

1)声優陣のテンションが低い
まあ……これは、しょうがない面もあるんじゃないかと。ぶっちゃけ、劇場版オリジナルの声優陣のテンションは異常に高かったようなので、特別デキがよかったのだろうと思います。特別版の声優陣の演技の入れ込み方は、TV版ガンダムとそう変わらないように思えます……そう考えれば、まだ許せます。

2)映像と声がズレている
これね~……なんでだろう? 音は撮り直したんですよねえ? 最近のアニメの技術を考えると、信じられないようなヒドさ。全部セリフが映像より遅れてるんですね……。

特にガンダムはカットの変わり目ギリギリまでひっぱるセリフが多いので、声が遅れると前のカットのセリフが次のカットまでこぼれます。

こうなった理由は、ふたつくらいしか考えられない。
A)リハーサル不足で声を一気撮りしたため、声優が演技を消化しきれていない。
B)映像と声のマスターがズレたままマスタリングしてしまった。

どちらかというとA)の感じがします……昔の配役ほぼそのままとはいえ、20年ぶりですから、練習が足らなければ言葉も出にくい。実際に、場面によっては声優が一生懸命早口でしゃべっているらしいセリフもあります。こうしたセリフがあると、突然収録現場の都合を想像させられてしまうので、話に入り込もうとしていたところで急に覚めてしまうんですね。

3)主な効果音が全部変わっている
ニタ光り(ニュータイプが反応する効果)、モビルスーツの機動音、ガンダムの足音……どれをとっても記憶と違う。ほぼすべての主要な効果音(SE)が変わってしまっています。それがいいほうに変わるなら全然OKなんですが、どれひとつとしていいほうに変わったものがない

あきれたのは、Ⅲ(めぐりあい宇宙編)のラスト。アムロがホワイトベースのクルー全員に撤退を呼びかけるシーンなんですが、クルーが反応するときのSEを入れていない。忘れたのか、不要と感じたのか……。

忘れたのなら、プロとして失格。なぜあそこで音が必要なのかくらいは、わかるでしょう。不要と感じたのなら、作り手として論外。なにが起きているのか場面の説明にならない。全編こんな感じで、悪いほうに変わってるんですね……。

4)主なBGMが差し替わっている
これが一番許せませんね。これもね、いいほうに変われば許しますよ。だけど、やっぱりことごとく悪いほうに変わってるんです。

記憶と違うから認めない……なんてガンコなことは言いませんよ。

理由は簡単です。
オリジナルの絵コンテと違う音を充てているからです。
映像とBGMの 『尺』 が違うんですね。

もともと絵コンテの重要な役割のひとつに、絵と音の尺をあわせることがあります。

オリジナルのⅡ(哀・戦士編)のジオン軍のジャブロー襲撃シーンなどは秀逸でした……。どっちが先かはわかりませんが、絵とBGMがお互いにピッタリ尺をあわせるように計算されていたと思えるんですね。そのおかげで、カットごとに大きなメリハリがつき、非常にテンポがよかった。

その状態でBGMだけ変えたら、テンポがメチャクチャになるのは目に見えてるじゃないですか。

だから、BGMが終わっても絵が終わってないとか、曲の途中でカットが変わってBGMがブチ切られるとか、そういうことが起こる。特にテンポが必要な戦闘シーンなどで、この現象は頻発します。ジャブローしかり、ソロモンしかり、ア・バオア・クーしかり。

高揚できない……視覚と聴覚のミスマッチの繰り返しで、観る者がひいてしまい、苛立ちさえ覚えてしまう。能書きにあるようにサウンドのリマスターだけが目的なら、なぜここまでヒドイものにしてしまうんでしょうか。特別版で音を仕切った百●氏(ですよね?)は、もしかしてオリジナルを観てないんじゃないですか?

こんなモノに、劇場版を彷彿させる形で 【機動戦士ガンダム】 という冠をつけるなんて、オリジナルを観た人をバカにしてます。

もしかしたらサンライズは、オリジナルの絵コンテやマスターを残してないのかもしれませんねえ……。当時は、こういったものを資産と考える風潮もなく、情報管理という考え方もなかった。だとしたら、非常に残念なことです。

だけど、もしマスターや絵コンテが残っているなら、ですね。ぜひとも、当時の完成度の 【劇場版ガンダム】 を世に出してもらいたいと思います。できることならばDVDでお願いしたいと思います。

あの感動を、もう一度味わいたいのです。


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コメント 4

ぱお

わしゃ Ⅱ(哀・戦士編)のDVDの出来の悪さにガッカリだねぇ
故 井上大輔 氏が歌った名曲「哀戦士」は 私が今まで観たアニメ作品で
ダントツ最高の“挿入歌”なんですよ それを主題歌だからって 無理矢理
エンディングに持ってこなくても… 明らかに作品の芸術価値をぶち壊し
ちゃってるでしょぉ 5.1チャンネルかなんだか知らんが余計なことせず
芸術作品をより恒久的に保存することを目的としてLD版を そのままDVD化
してほしかったものです いや今からでもやってくれ!
by ぱお (2006-03-11 11:23) 

みみちゃん

ぱおさん、コメントありがとうございました。
私も、特別版のⅡを見たときは、ゲンナリしました……。
ホント、オリジナル版をDVD化してくれたら、きっとすぐ買っちゃいます(汗)。
by みみちゃん (2006-03-21 22:09) 

たけ

はじめまして、TV版DVD-Box見終わった流れで映画三部作を久々に見ました。ⅠとⅢはオリジナル版をかつてCSで録画したものがあったのですが、哀戦士は特別版しか保存できてなくはじめてちゃんと見ました。噂どおりのひどい出来でかなりのびっくり状態、哀戦士の使い方もそうですし、マチルダさ~んの風に吹かれてもカットとは、再編集した人間の意図がまったく理解できない恐ろしいものでした。本当の原因は何なんでしょうかね?(人的センスの問題かはたまた権利関連の問題か)今のDVDなんて音声2種類ぐらい入れるの訳ないんだからデレクターズカット版とか言って再販してくれればいいのに。当分家にあるLD版手放せないな(しかしLDプレーヤーが壊れてて動きませんが)。
by たけ (2007-03-04 22:11) 

みみちゃん

たけさん、コメントありがとうございます。

以前見たサイトでは、特別編を作るときに、
T監督はほんとにいいものができると思ってたみたいですよ。
狂っちゃったんでしょうか。

しかし、ようやく出ますね!! オリジナル音源版が!!
もうソッコーでAmazonで予約しました。
これからカミさんを機動戦士に仕立て上げる計画を立ててますw。
by みみちゃん (2007-12-15 01:22) 

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