【市川崑追悼】★★☆☆☆ - DVD『病院坂の首縊りの家』 [ ┣ TV・映画・DVDレビュー]
2008年2月13日に他界された、市川崑監督の追悼企画です。
今回が本企画の最後の記事となります。
今回は、
『病院坂の首縊りの家』
のレビューです。
『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』に続く、
市川崑&石坂金田一シリーズの5作目です。
これで、市川崑&石坂金田一シリーズはいったん終了となります。
『犬神家の一族(2006年)』まで作られませんでした。
だいぶ内容がとっちらかっちゃった感があります;;;。
内容をじっくり追うと悲しい女たちの運命なのですが、脚本や演出の問題で、せっかくの主題がだいぶぼやけてしまっています。
従って、今回は辛めに★★☆☆☆としました。
※途中からネタバレしますが、まだ続きを読んでも大丈夫です。
以下あらすじです ↓ 。原作とはかなり異なります。
昭和二十六年、奈良県吉野市。
ある小説家(横溝正史)のもとへ、金田一耕助が訪ねてくる。
『アメリカへでも行こうと思う』という金田一に、小説家はパスポート用の写真を撮影できるよう、本條写真館を紹介する。
早速その写真館を訪れた金田一は、主人の徳兵衛・若主人の直吉・弟子の黙太郎と出会う。金田一が探偵だと知った徳兵衛は、直吉や黙太郎に内緒で、仕事を依頼する。
それは、誰かに生命を狙われている、という調査依頼だった。
空きビルに行ったとき、いきなり大きな風鈴が落ちてきたというのだ。
金田一が去った直後、ひとりの娘が写真館を訪れた。結婚式の出張撮影の依頼だった。
夜、花婿が写真館を訪れ、直吉を病院坂の法眼病院の持つ空き家に招く。その家は、『病院坂の首縊りの家』と言われる、いわくつきの家だった。昭和二十一年に、ひとりの女が首をくくったのだという。
不自然に風鈴を飾ったまま、目つきの定まらぬ花嫁との結婚写真を撮って、直吉は写真館に帰った。その写真を見た徳兵衛は、花嫁が法眼病院の娘の由香利にそっくりだという。
後日の夜、徳兵衛の依頼の件で写真館を訪れた金田一。
その写真館に、昨夜の娘から電話があり、例の空き家で再び写真を撮ってくれという。写真を撮るものは、風鈴。
おそるおそる空き家に向かった写真館の3人と金田一。
そこで見たものは、風鈴に見立てた人間の生首だった……!
本作は、なにもかもが中途半端になってしまった感じがあります。
まず、非常に複雑な人間関係があるのですが、その説明が充分になされない(理解する間もなくまくしたてられる)ため、観客が劇中の立ち位置で推理を楽しむ余地がなく、淡々と進むドラマを第三者として観ることになってしまいます。
また、黙太郎役の草刈正雄さんや、法眼由香利・山内小雪役の桜田淳子さんらが前面に出ており、石坂浩二さん扮する金田一耕助は、
どちらかというとワン・オブ・ゼム的な立ち位置になっています。
意図はわかりませんが、話も大きく原作から変わっているようです。
そのせいか、推理モノとして重要な緻密さや統一感や説得力に欠けています。もしかしたら、主題すらも変わっているのかもしれません。
これによって、事態の進展と、金田一耕助が真実に迫る時間軸上の『競争』が、希薄になってしまいました。
漫然としたのんびり感が作品全体に漂っています。
なかなか改めて観る気が起こらない作品です。
ただし! 桜田淳子さんの演技はよかった!!
↓注意!
↓以下ネタバレです。
↓これから観る人は、
↓読むのをやめてね。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓ネタバレするよ。
↓気をつけてね。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
以下ネタバレです。
映画では、他の作品同様、一気に解決します。
原作では20年かかっている金田一耕助最大の事件だそうですが…。
なんであんな作りにしたの?
まず、タイトルの入り方。
最後の謎解きまで観れば、法眼弥生・山内冬子・山内小雪のとても悲しい巡り合わせの物語だとわかります。
だけど、いきなりタイトルバックで陽気にジャズ全開。
確かにザ・アングリー・パイレーツの人間関係を説明するエピソードになっていたけど、あれはタイトルバックに持ってくるべきじゃなかった。
タイトルバックは映画の顔。主題のイメージと違うモノを持ってきたら、第一印象が大きく変わっちゃう。
それと、コメディ入れすぎ。
話がシリアスな方向にどんどん向かっていくかと思うと、突然等々力警部とか坂東刑事とか加納巡査とか野呂書店で、いきなりコメディの世界に引き戻される。
もうちょっと、その……バランスというか、調和を考えてほしかった。
肝心なのが、統一感や説得力のなさ。
他の金田一映画と違い、非常に場当たり的に話が進んでいく。
もともと殺害の動機がひとつではなく、由香利と小雪の入れ替わりの秘密と、法眼弥生の過去の秘密のふたつがあり、それぞれの秘密に関する人物が場当たり的に殺されていくので、統一感がありません。
これが原作からそうなのか、映画化するときにこうなっちゃったのかはわかりませんが、原作からそうなら、映画で修正するべきでした。
それから、エピソードにも説得力がありません。例えば、吉沢を電話で呼び出した声が女だと、どうして黙太郎が知ることができたのか。
滋が警察にいるのに、聴取で状況が把握できないのはなぜなのか。滋とすれば、由香利が小雪だと暴露することで、かえって法眼家内で自分の発言力を増すことができるというのに。
ドラマ性を追求しすぎたのか、緻密さに欠けている。
しかも、オチが……。
敏男が自殺;;;。
由香利は過失致死;;;。
これはちょっと……推理モノとして裏切られた感じ;;;。
毎週地上波TVで観れる2時間サスペンスのレベルです。
で、こんなのになっちゃった。
( ↑ 黙太郎風)
もったいないなあ;;;。いいテーマが入ってるのに;;;。
追悼企画の最後の最後で辛い点を付けちゃいましたが、
俺は市川崑の金田一が大好きだー!!!!
……改めて、市川崑監督のご冥福をお祈りいたします。
2008-02-18 00:03
nice!(1)
コメント(3)
トラックバック(0)
みみちゃん、星、ふたつですか、厳しいですね。
まあ、自分の中でもこの作品はいまいちの感じがします。
いろいろな方が金田一耕助を演じましたが、石坂浩二さんより、テレビ版の古谷一行さんのほうが原作のイメージに近い感じがしますね。
by あまちゃん (2008-02-18 23:38)
あまちゃん、nice!&コメントありがとうございました。
本作品は、殺人が場当たり的だったこと/エピソードに説得力がないこと/黙太郎が動きすぎて金田一が目立たなかったこと/緻密さが欠けていることが、不満でした。
たぶん、草刈正雄さんは売り出し中の若手俳優だったので、興行的な意図もあったのでしょう。
演技はうまかったんですが、話の中でエネルギッシュに動きすぎました。『手毬唄』の磯川警部のポジションのほうがよかったなあ、と思います。
ホントは、2006年の犬神家のリメイクのときに、リアル病院坂のほうが観たかったんですが……残念です。
by みみちゃん (2008-02-19 00:08)
GO!!!
This phrase was said by the first cosmonaut on Earth - Yuri Gagarin. (Yuri Gagarin)
He was the first astronaut on Earth. He was Russian! ...
Now Russia is becoming a strong country, gas pipelines, a vaccine against COVID-19, an army.
Is this very reminiscent of the communist Soviet Union?
How do you think?
Now we have total control in our country. I am interested in the opinion of foreigners.
<a href=http://www.albonumismatico.ru>Албонумисматико</a>
ПОЕХАЛИ!!
by Nyrpsik (2021-05-11 23:38)