政府税調への正しい怒り方 [◆私見!!]
このところ、平日はシッカリしたblogが書けないですね~。
ということで、今日はお休みを使って、ゆっくり書いてみました。
今週のイベントとして、テロや地震などいろいろあった中で、今日はこのテーマで書いてみたいと思います。
『政府税調 配偶者控除議論 委員の発言波紋』
http://news.goo.ne.jp/news/sankei/seiji/20050721/m20050721009.html
まったく、もう……。
ちょっと調べれば調べるほど、バカバカしいというか。
その内容を、軽くまとめてみました。
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【世の中、スジ違いが多いよ】
わたくしごとですが、今日の午前中は持病の検査で病院に行きました。
某都立病院です。
待合室で座っていた私の後ろには、予約した診察時間に受信できないことを怒っておられる 【おばさま】 がいらっしゃいました。
『予約なのに時間通りにならないなんて、絶対おかしい。』
『11時って言われたんだから、11時に絶対診てもらわないと。』
『午後から予定があるんだから。』
この 【おばさま】 のおっしゃることは、ごもっとも。
私だって、この病院では、1時間押しはいつものこと。
今日だって45分押しだったし、ひどいときは3時間待たされましたよ。
ですけどね、
『絶対病院に文句言ってやる。』
おばさま、そんなことしたら病院の職員の胃に穴が開いちゃいますよ。
現場がまわらない状態になったのは、彼らのせいじゃないんです。
彼らは、石原慎太郎都知事の打ち出した 【都立病院縮小計画】 の犠牲者たちなんです。
考えてくださいよ、彼らだって、みすみす文句を言われるような運営をしたいワケがないでしょ?
彼らに文句を言ったところで、リソースは足りない、仕組みは変えられない、彼らの意思では改善しようがないんです。
だから、おばさまが怒りをぶつけている時間分、職員がそれにまともにつき合わされるとしたら、他の患者の迷惑になるだけなんですよ。
文句を言うなら 【都立病院マスタープラン】 を理解してから、石原慎太郎に直接文句を言いなさい。
石原慎太郎の胸ぐらをつかむのが難しければ、ここに文句を言うべきです。
『東京都病院経営本部』
http://www.byouin.metro.tokyo.jp/
でないと 【スジ違い】 です。
政府税調の専業主婦侮辱発言の一件も、怒っている人は多いようです。
だけど、怒るところや怒り方を間違えると、【スジ違い】 になってしまい、怒るほうも怒られるほうも、それを傍から見ている第三者も、誰もなんの利益も得られなくなります。
賢く怒るにはどうしたらいいか、ちょっと考えてみました。
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【侮辱発言のどこがおかしいのか】
この一件について、報道の取り上げ方は、あいかわらず頭が悪いです。
『侮辱発言が明らかになった。参院審議会でも問題として取り上げられた。今後の改正論にも影響しそうだ。』
……バカか、報道。ガキの日記かよ、なにが言いたいんだよ(汗)?
報道がバカなので、自分で情報を取って分析するのが一番ですね。
では、取りに行ってみましょう。
この 【侮辱発言】 があった政府税調の委員会議事録は、コチラ。
『税制調査会 第37回基礎問題小委員会 議事録』
http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/gijiroku/b37kiso.htm
全体にざっと目を通しただけでも、理解に苦しむ(というか、バカな)点が多すぎます(汗)。
全部取り上げていたらキリがありません……こんな議論しかできないレベルの人たちが税制を協議しているとは、正直オドロキです(汗)。
まあ、いまは専業主婦に対する侮辱発言関連に絞りましょう……今回のblogはそのテーマで書き始めたことだし(汗)。
当該文章をこのblogに引用してしまうと 【著作権】 を侵害する可能性があるので、やめておきます。
上出のリンクから行ける議事録を読み込んでみてください。
キーワード 【パラサイト・ワイフ】 で検索すると、すぐに該当する部分が出てきます。
念のため補足しますが、前後の流れまで含めて読まないと、発言内容が正しく理解できないと思います。
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【成立しない議論】
どんな議論でも、【改革(改正)】 が目的のものならば、必ず踏むべき手順というものがあります。
1)徹底した現状分析⇒現実を明らかにする
※意思決定のフレーム、モノや情報の量と流れ、ボトルネックなどを洗い出す
2)周辺分析からの理想像構築⇒ゴールを明確化する
※ポリシーとロジックの両軸を構築
3)現実と理想の差異分析と改革アプローチの模索
※机上で構造破壊や再構築からフィット&ギャップまで幅広く検討
4)施策の具体化
※ブレイクダウンと構造化、各ステップの成果の明確化
5)施策実行
この各々の段階では、必ず 【合意形成】 という手順が踏まれなければなりません。
この場合に重視されるべきは、対象者の思いと、それを第三者視点から見たときの分析内容、それからこれらを具体的な仕組みにフィッティングするためのノウハウなんです。
だから、納税者代表と、税の再配布先(福祉税ならその恩恵を受ける人)の代表、そして税制のスペシャリストがテーブルについて、初めて建設的な議論ができると思うワケです。
ところが、議事録を見る限り、このような建設的な議論にはなっていません。
委員が身勝手な理想像をぶつけ合っているだけです。
もう、すでにこの段階で間違いね(汗)。
他の日の議事録に目を通したワケじゃないのでわかりませんけれども、すでにこの段階で改革の議論としては失敗しています。
こんな議論、時間と税金のムダですよ……。
悪いけど、民間の経営コンサルのほうが、よほどうまく議論をリードできるんじゃないでしょうか(汗)。
その中でも、配偶者への侮辱とされるやりとりの部分では、データの裏打ちすらない。
感覚の議論になっている。
これじゃ、井戸端会議ですよねえ?
その中でも大きく2つの問題があります。
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【子供を産まない専業主婦=のんべんだらり=税の取りどころ】
まずひとつは、【子供を産まない専業主婦=のんべんだらり=税の取りどころ】 という前提で意見している委員が議論をリードしていること。
この人は、なにをもってこういう前提条件を導いているか。
そして、なぜ他の委員はこれに対して、正しい見方から理論的な反論をしないのか。
【子供を産まない専業主婦=のんべんだらり】 というロジックの根拠はなんです?
不可抗力で産みたくても埋めない人はいっぱいいますよ?
子供を産むことはできても、不可抗力で労働できない人もいっぱいいますよ?
そして、【のんべんだらり=税の取りどころ】 というロジックの根拠はなんです?
税は、納付義務を負わせることが社会的制裁だ、っていうことですか?
【税金】 はいつの間に 【豊かさの分配】 の道具から 【拘束の分配】 の道具に成り下がったんですかね?
乏しい知識を背景に、トンチンカンな手法を使い、自己都合の制度解釈で持論を展開する委員。
その場で話されているのは、私たちのおサイフから抜き取るお金の話ですよ?
こいつら、なにさまのつもりなんですかね……。
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【モチはモチ屋】
もうひとつ、【モチはモチ屋】 の発想が、なぜないのか。
少子化問題なんて、税制調査会で議論することですか?
当然、厚生労働省が主体じゃないですか。
その厚生労働省は、昨年の12月末に、『少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について』 という資料を公表しています。
『少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について』
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/h1224-4c.html
この中で、『II 施策の内容・目標 (7) 経済的負担の軽減 』 に、個人所得課税に対する人的控除の構造見直しについて書かれています。
非常にシンプルな内容で、かつ具体的施策に落ちているワケではありません。
しかし、【少子化に対する所得税控除の構造】 に関する議論には違いないじゃないですか。
まず、別々のところで同じ議論をするのは、【ムダ】 です。
加えて、少子化に対する議論を進めるためのバックデータを豊富に持っているのは、厚生労働省だと容易に想像できます。
さらに、議事録の中では、児童手当に対する協議や施策の立案に関して、『厚労省との摩擦』 という表現を用いています。
『摩擦』 と考えること自体、自分たちの裁量のみで税制フレームを片付けようという意思の表れ。
これなら、【モチはモチ屋】 という発想にならない理由がよくわかります。
こんなやつらは、早くこういう議論のテーブルにつけないようにしてほしいですね。
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【スジ違いにならない怒り方】
さて、政府税制調査会は、このようにボロボロみたいです。
こりゃあ怒らなきゃいけませんね。
じゃ、【スジ違い】 にならないように怒るには、どうすればいいんでしょうか?
政府税制調査会は、小泉首相の諮問機関だそうです。
つまり、特定の目的について、小泉さんが考える代わりに、アイデアや施策を議論して結論を出すところです。
ですから、その結論(報告)を採用するも捨てるも、小泉さんの意思次第。
加えて、編成も首相の意思が反映されているハズ。
編成や運営の最終的な責任も、小泉さんが負うべきなんですね。
(もしかしたら、実働は官邸に任せたかもしれませんが……)
だから、怒りの矛先は、小泉純一郎ということに。
小泉純一郎の胸ぐらをつかむことができなければ、首相官邸ということになりますね。
もしくは、この委員会の事務局を勤めている財務省です。
ということで、政府税制調査会の文句は、コチラに送るといいんじゃないでしょうか。
『首相官邸』
http://www.kantei.go.jp/
『財務省』
http://www.mof.go.jp/
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こういうことって、調べれば調べるほど、【国を動かす連中のレベルの低さ】 に幻滅します。
くじけそうになりますが、バカに負けるのはシャクじゃないですか。
そのバカが国を動かしているとしたら、なおさら……放っておけば、結局自分に返ってきますからね……。
あきらめたら敗北ですから、こっちがあきらめないように、がんばらないとね。
こんばんは。ちと忙しくてご無沙汰してましたm(_ _)m。
まぁ、大病院の長時間待ちは、私立でも同じなので・・・。
予約を入れた場合、予約診療ということで、若干高く料金設定
できるはずなのですが、時間通りにできないのなら、なんのた
めの予約なのかなぁと言う気はします。はい。
by la3751 (2005-08-03 01:04)
la3751さん、コメントありがとうございました!
私も本業に押されて更新が 【とびとび】 です、ハイ(汗)。
今日はblogの更新なしで、お返事だけでご勘弁ください(汗)。
おっしゃるとおりで、都立病院の場合、その現状をわかっていない都知事なり都の病院経営本部なりが医療行政を仕切っているのが問題なんですね。
都立病院の現場では、悪い点がわかっていても、改善方法がわかっていても、現場だけではなにもできないですから……。
不満を持つのも言うのも患者としては当然の権利ですので、その矛先をしかるべき場所に向けないと、馬車馬のように働いている現場のスタッフが報われないなあ……と思います、ハイ。
by みみちゃん (2005-08-04 22:52)